山形地方裁判所酒田支部 昭和48年(ワ)51号 判決 1978年3月30日
原告
上野美千
ほか七名
被告
土方嘉夫
ほか二名
主文
一 被告らは、各自、
1 原告上野美千に対し、金一、〇六九万三、五七八円及び内金一、〇一九万三、五七八円に対する昭和四九年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を、
2 原告上野修一、同上野佐知に対し、各金一、二四九万五、三八八円及び内金一、一九九万五、三八八円に対する昭和四九年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を、
3 原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子に対し、各金二〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を
それぞれ支払え。
二 原告らの被告らに対するその余の請求はいずれも棄却する。
三 訴訟費用はこれを四分し、その一を原告らの負担とし、その余を被告らの負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一当事者の求めた裁判
一 原告ら
1 被告らは、連帯して、
(一) 原告上野美千に対し、金一、四八五万五、八八二円及び内金一、四二〇万五、八八二円に対する昭和四九年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を、
(二) 原告上野修一、同上野佐知に対し、各金一、五七七万六、〇五八円及び内金一、五二七万六、〇五八円に対する昭和四九年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を、
(三) 原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子に対し、各金四〇万円及びこれに対する昭和四九年一月一日から完済まで年五分の割合による金員を
それぞれ支払え。
2 訴訟費用は被告らの負担とする。
との判決及び1項につき仮執行の宣言
二 被告ら
1 原告らの請求はいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
との判決
第二当事者の主張
一 原告らの請求原因
1 交通事故(以下「本件事故」という。)の発生
(一) 発生日時 昭和四八年九月二六日午前九時四五分ころ
(二) 発生場所 酒田市東大町字大堰端三七の二国道七号線
(三) 加害車両
(1) 大型貨物自動車(山形一一ま一七三三号)
運転者 被告土方嘉夫(以下「被告土方」という。)(以下、右車両を「被告土方車」という。)
(2) 大型貨物自動車(山形一一ま五三三号)
運転者 被告佐藤覚(以下「被告佐藤」という。)(以下、右車両を「被告佐藤車」という。)
(四) 被害者 上野林(以下「亡林」という。)
(五) 発生状況
亡林が排気量一二五CC自動二輪車(以下「自動二輪」という。)を運転して秋田方向に進行し、本件事故現場にさしかかつたところ、後方から進行して来た被告佐藤車が自動二輪を追い越す際、自動二輪との間隔を十分にとらなかつたため、亡林は、道路左側に幅寄せされた結果となり、自動二輪の左側ペダルを道路縁石に接触させ、その結果、亡林が道路中央に寄つたところ、これを追越しにかかつた被告土方車が、その左側を亡林に接触させ、自動二輪から転倒した亡林の頭部を左後輪で轢き、即死させたものである。
2 責任原因
(一) 被告佐藤、同土方について
被告佐藤は、自動二輪を追い越す際、自動二輪との間隔を十分に置き、自動二輪の運転に危険を与えないように追い越すべきであるにもかかわらず、亡林の運転する自動二輪との間隔を十分に置かずして追い越した過失により、亡林をして被告佐藤車との接触の危険を避けるために道路左側に寄らしめ、そのため自動二輪左側ペダルを道路縁石に接触させ、その反動で、亡林が道路中央に寄らざるをえない状態にしたものであり、被告土方は、自動二輪の安全を確認して追い越すべきであるにもかかわらず、自動二輪との間隔を十分にとらず、かつ、その動静に注意せずに追越しにかかつた過失により、被告土方車を亡林に接触させ、転倒した同人の頭部を轢いて即死させたものであるから、被告佐藤、同土方は、各自、民法七〇九条に基づき、本件事故により生じた後記損害を賠償すべき義務がある。
(二) 被告有限会社池商車体(以下「被告会社」という。)について
被告会社は、被告佐藤車、同土方車の保有者であるから、自賠法三条に基づき、運行供用車として、本件事故により生じた後記損害を賠償すべき義務がある。
3 損害
(一) 亡林の損害(逸失利益)
(1) 山形県事務職員としての得べかりし収益
(イ) 亡林は、山形県立酒田東高等学校を昭和三一年三月卒業し、昭和三五年四月一日から山形県事務職員(吏員)となり、山形県教育委員会に勤務し、昭和四〇年四月一日事務主事となり、本件事故当時、山形県立酒田北高等学校の事務主事をしていたものである。亡林は、昭和一三年三月二〇日生で、すこぶる健康体であつたところ、厚生省大臣官房統計調査部編集財団法人厚生統計協会刊昭和四六年簡易生命表によれば、三五歳の男子の平均余命は三七・九九年であるから、同人は、なお右期間生存し、山形県事務職員として退職時まで給与を得たことは確実である。
(ロ) 山形県職員の給与は、「山形県職員等の給与に関する条例」(昭和三二年県条例第三〇号)(以下「給与条例」という。)の規定するところにより支給されるが、毎年、条例の改正により、給与額の改訂がなされている。
亡林の得べかりし給与は、昭和四九年四月一日から昭和五〇年三月末日までの給与及び昭和五〇年四月一日以降の給与については、本件事故後給与条例の改正により既に改訂増額された給与額により算出する。
(a) 基本給
給与条例によれば、亡林の退職時までの基本給は、別紙計算書(一)「基本給」欄記載のとおりとなる。
すなわち、山形県職員の将来の昇給見込みは、給与条例の規定により、一二月を下らない期間を良好な成績で勤務したときは、一号給上位の号給に昇給することになつているところ、山形県においては、特に不成績、不都合のない限り、一年一回昇給させているのが実際であり、亡林の過去の昇給は、年一回以上昇給している。
昇給は、格付基準表によりなされるが、特別昇給もなく、また、特に役職につかない場合は、五等級から四等級に昇格するのは、吏員としての在職年数一一年以上または五等級一一号給以上の場合であり、四等級から三等級に昇格するのは、四等級在級年数八年以上または四等級一八号給以上の場合であつて、昇格するときの該当号俸は、昇格前の基本給額より多い金額の号俸である。
山形県事務職員の退職については、停年制がなく、死亡時まで勤務できるが、現在は、退職勧告を受けて六〇ないし六一歳で退職しているのが実状である。そこで、亡林は六〇・七五歳である昭和七三年一二月末日に退職するものとして、基本給その他給与を算出する。
亡林は、昭和四六年一〇月一五日五等級になり、死亡時五等級九号給を得ていたが、これは、昭和四八年一〇月一日九号給に昇給のところ、死亡により死亡時に昇給したものである。
そこで、以上に基づき、一〇月一日定期昇給で毎年一号給昇給するものとし、さらに、昭和五一年一〇月一日五等級一二号給になるところ四等級八号給に、昭和五九年一〇月一日四等級一七号給になるところ三等級一二号給にそれぞれ昇格することとして、亡林の退職時までの基本給を算出したものである(なお、昭和六七年には三等級二〇号給になるが、その後の昇給についての推定は困難であるので、三等級二〇号給をもつて退職時まで同額とした。)。
(b) 扶養手当
給与条例により、母親については死亡時まで、第一子、第二子についてはそれぞれ一八歳に達するまで一定額の扶養手当が支給される。
亡林の場合、扶養手当の額は別紙計算書(一)「扶養手当」欄記載のとおりであるが、その内訳は、次のとおりである。
ⅰ) 母上野みつについて
昭和四八年一〇月から昭和五一年五月まで一か月金四〇〇円(上野みつは昭和五一年五月二九日死亡)
ⅱ) 長男原告上野修一(昭和四四年一月一一日生)について
昭和四八年一〇月から昭和四九年三月まで一か月金一、〇〇〇円
昭和四九年四月から昭和五〇年三月まで一か月金一、五〇〇円
昭和五〇年四月から昭和六二年六月まで一か月金二、〇〇〇円
ⅲ) 長女原告上野佐知(昭和四八年八月二〇日生)について
昭和四八年一〇月から昭和五〇年三月までは原告上野修一についてと同じ。
昭和五〇年四月から昭和六六年八月まで一か月金二、〇〇〇円
(c) 時間外手当
時間外手当として、毎月基本給の六パーセントが支給される。
(d) 三月期末手当
毎年、三月の基本給と扶養手当の合計額の五〇パーセントが三月一日の基準日から一五日を越えない範囲内に支給される。
(e) 六月期末手当(勤勉手当を含む。)
毎年、六月の基本給と扶養手当の合計額の一七〇パーセントが六月一日の基準日から一五日を越えない範囲内に支給される。
(f) 寒冷地手当
寒冷地手当は、毎年八月一〇日に支給されるが、亡林の昭和四九年分の手当額は、支給地域二級地の飽海郡における定額金一万一、〇〇〇円、定額金二万六、八〇〇円及び基本給に扶養手当を加えた額の四五パーセントの金額を合計した金額であり、昭和五〇年分以降の手当額は、支給地域の定額金一万七、〇〇〇円、定額金二万六、八〇〇円及び基本給に扶養手当を加えた額の四五パーセントの金額を合計した金額である。
(g) 一二月期末手当(勤勉手当を含む。)
毎年、一二月の基本給と扶養手当の合計額の二六〇パーセントが一二月一日の基準日から一五日を越えない範囲内に支給される。
以上に基づき、亡林の昭和四八年一〇月一日から昭和七三年一二月末日までの得べかりし給与(基本給及び諸手当)を算出すると、別紙計算書(一)の各金額を基礎として、同計算書(二)の1ないし3記載のとおりとなり、各年度ごとの合計額は、同計算書(三)の「給料・期末手当合計額」欄(ただし、昭和七三年度まで)記載のとおりとなる。
(ハ) 退職手当
「山形県職員等に対する退職手当支給条例」(昭和二八年県条例第二六号)(以下「退職手当条例」という。)によれば、勤続期間三六年以上四二年以下の職員の退職の場合、退職時の基本給に六九・三を乗じた金額が退職手当として支給される。
亡林は、昭和三五年四月一日から山形県職員になつたので、昭和七三年一二月に退職するものとすると、在職年数は三八年余になる。亡林の右退職時における基本給は別紙計算書記載のとおり金二二万三、四〇〇円であるから、右金額に六九・三を乗じた金一、五四八万一、六二〇円が亡林の右退職時における退職手当となる。
ところで、亡林について、本件事故による死亡により、金一七〇万三、七三〇円が退職手当として支給されたので、前記退職時の金額より右金額を差し引いた金一、三七七万七、八九〇円が亡林の退職手当についての損害となる。
そこで、これを死亡時に一時に支払われるものとして、ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除すると、次の算式により、金六一二万三、五〇六円となる。
<省略>
なお、被告らは、退職手当を損害に計上するのであれば、地方公務員等共済組合法に基づく掛金を退職手当の額より控除すべきであると主張するが、退職手当は、退職手当条例により山形県が支給するものであり、一方、掛金は、地方公務員等共済組合法による掛金で、共済組合の支給する年金のためのものであり、退職手当のための掛金ではない。地方公務員の退職手当は、労務の対価の繰延払いとみるべき性質のものである。したがつて、被告らの右主張は失当である。
(2) 退職後の得べかりし収益
亡林は、山形県職員を退職した後なお五年以上は稼働し、退職時の給与額の半額以上を得たものと考えられるので、退職後なお五年間稼働し、退職時の基本給の半額を得たものとみて損害を算出する。
退職時の基本給は、月額金二二万三、四〇〇円であるから、この半額の金一一万一、七〇〇円を五年間得るものである。
(3) 生活費及び中間利息の控除
酒田市における平均生活費は、山形県統計課編昭和四八年刊山形県勢要覧によると、昭和四六年度において、世帯員数三・六七人、収入一一万〇、一一三円、支出総額八万五、九五八円であるから、一人当りの収入に対する支出の割合は二一・二七パーセントであるが、前記退職時までの給与(基本給及び諸手当)及び退職後の収益として算出した各年間収入から亡林の生活費として三〇パーセントを控除し、同人の昭和四八年から昭和七八年までの総収益を昭和四八年一二月末日一時に支払いを受けるものとし(本来、死亡時において一時に支払いを受けるべきところ、中間利息の控除の計算上、これを昭和四八年一二月末日にしたものである。)、ホフマン式計算法により年五分の中間利息を控除すると、別紙計算書(三)記載のとおり、金三、九六〇万四、六七〇円となる。
(4) 逸失利益の合計
亡林の逸失利益は、別紙計算書(三)記載のとおり算出された金三、九六〇万四、六七〇円と中間利息控除後の退職手当差額金六一二万三、五〇六円の合計額金四、五七二万八、一七六円となる。
(5) 相続
原告上野美千は亡林の妻であり、原告上野修一、同上野佐知は亡林の嫡出子であるから、右原告らは、亡林の逸失利益の損害合計金四、五七二万八、一七六円の賠償請求権を法定相続分各三分の一の割合で承継した。
(二) 原告上野美千の積極損害(葬儀費用)
原告上野美千は、昭和四八年九月二八日亡林の葬儀を行い、布施等として竜蔵寺に金五万三、〇〇〇円、青原寺に金四万五、〇〇〇円、峰鷲院に金三万円、葬具代として伊藤伝兵エに金一一万七、〇五〇円、写真額代としてライフカメラ店に金二、五〇〇円、菓子料理等として金一四万七、〇六五円、三五日法要料理等として金六三万二、〇〇〇円、以上合計金一〇二万六、六一五円を支出し、同額の損害を被つた。
(三) 原告らの慰藉料
(1) 原告上野美千、同上野修一、同上野佐知は、本件事故により最愛の夫あるいは父を失い、絶大な精神的苦痛を受けた。これに対する慰藉料は右原告ら各自につき金一五〇万円が相当である。
(2) 亡上野寿吉、同みつは亡林の父母であるところ、右両名も、本件事故により最愛の子を失い、絶大な精神的苦痛を受けた。これに対する慰籍料は右両名各自につき金一〇〇万円が相当である。
ところで、亡上野萬寿吉は昭和五〇年五月七日死亡し、また、同みつは昭和五一年五月二九日死亡し、それぞれ相続が開始したが、亡上野萬寿吉の相続人は、配偶者亡上野みつ、嫡出子原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子及び亡林の代表相続人原告上野修一、同上野佐知であり、亡上野みつの相続人は、亡上野萬寿吉の相続人のうち亡上野みつを除いたその余の者らであるから、結局、亡上野萬寿吉、同みつの慰藉料請求権合計金二〇〇万円について、原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子は各自五分の一に相当する金四〇万円宛、原告上野修一、同上野佐知は各自一〇分の一に相当する金二〇万円宛それぞれ相続により承継した。
(四) 損害のてん補
(1) 原告らは、昭和四八年一二月一三日、自賠責保険金五〇〇万円の支払いを受けた。
右保険金の内訳は指定されていないので、原告らは、これを亡林の逸失利益の損害合計金四、五七二万八、一七六円に充当した。
したがつて、原告上野美千、同上野修一、同上野佐知が右逸失利益の損害について相続により承継した右損害てん補後の金額は各金一、三五七万六、〇五八円となる。
(2) 原告上野美千は、亡林の死亡により、地方公務員災害補償法の規定に基づき、遺族補償年金として、地方公務員災害補償基金(以下「基金」という。)より、昭和五〇年六月二四日金二三万〇、一〇八円、同年九月二五日金二三万七、八二四円、同年一二月二三日金二〇万二、三二八円、昭和五一年三月二五日金二一万七、五七九円、同年六月二二日金二二万〇、〇七六円、同年九月二四日金二二万〇、〇七六円、以上合計金一三二万七、九九一円を受給した。
右金額は、基金が被告らに対し求償権を行使しているので、原告らの損害より控除すべきところ、受給資格者中第一順位の受給権者たる原告上野美千に支給されているので、右金額を同原告の損害から控除することにする。
そこで、同原告が亡林の逸失利益の損害について相続により承継した損害てん補後の損害残額金一、三五七万六、〇五八円、葬儀費用金一〇二万六、六一五円、慰藉料金一五〇万円、以上の合計金額から右遺族補償年金一三二万七、九九一円を差し引くと、金一、四二〇万五、八八二円(計算上、金一、四七七万四、六八二円が正しいが、弁論主義により、原告上野美千主張金額によることとする。)となる。
(五) 弁護士費用
原告上野美千、同上野修一、同上野佐知は、弁護士佐藤悌治に対し本件訴訟の追行を委任し、原告上野美千は昭和四八年一二月二五日着手金として一五万円支払い、さらに右原告らは、成功報酬としてそれぞれ請求認容額の一〇パーセントを支払う約束をしたが、右原告らは、本訴において、本件事故と相当因果関係のある損害として、右弁護士費用のうち、原告上野美千については着手金一五万円を含めて金六五万円を、原告上野修一、同上野佐知については各金五〇万円をそれぞれ請求する。
4 結語
よつて、被告らに対し、
(一) 原告上野美千は、前項(四)(2)の遺族補償年金控除後の損害残額金一、四二〇万五、八八二円と同項(五)の弁護士費用金六五万円の合計金一、四八五万五、八八二円及び右弁護士費用を除いた内金一、四二〇万五、八八二円に対する不法行為後である昭和四九年一月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を
(二) 原告上野修一、同上野佐知は、各自、前項(四)(1)の亡林の逸失利益の損害についての相続分の損害てん補後の残額金一、三五七万六、〇五八円、同項(三)(1)の慰藉料金一五〇万円、同項(三)(2)の亡上野萬寿吉、同みつの慰藉料についての相続分金二〇万円、同項(五)の弁護士費用金五〇万円、以上合計金一、五七七万六、〇五八円及び右弁護士費用を除いた内金一、五二七万六、〇五八円に対する不法行為後である昭和四九年一月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を
(三) 原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子は、各自、前項(三)(2)の亡上野萬寿吉、同みつの慰藉料についての相続分金四〇万円及びこれに対する不法行為後である昭和四九年一月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を
連帯して支払うことを求める。
二 請求原因に対する被告らの認否
1 請求原因1項について
(一)ないし(四)の事実は認める。(五)のうち、被告土方車が亡林の頭部を左後輪で轢き、亡林が即死したことは認めるが、その余の事実は否認する。
2 同2項について
(一)の主張は争う。本件事故は、後記被告会社の免責の抗弁記載のとおり、亡林の過失により発生したものである。
(二)のうち、被告会社が被告佐藤車、同土方車の保有者であることは認める。
3 同3項について
(一)の事実は不知。なお、原告らは、亡林の逸失利益として、同人が将来支給を受けるべき地方公務員の退職手当を計上しているが、亡林が右退職手当を受給するためには、公務員等共済組合法二〇四条三項に基づいて毎月同人の給料の割合に応じた掛金を支払わなければならないから、右掛金は退職手当の額より控除されるべきである。また、原告らは、逸失利益の算定にあたり、ホフマン式計数表に基づいてこれを算出しているが、就労可能年数が長期間であるところから考えると、ライプニツツ式計算法によるのが合理的である。
(二)の事実は不知。
(三)のうち、慰藉料額は争い、相続関係は不知。
(四)のうち、自賠責保険金五〇〇万円受領の事実及び原告上野美千がその主張のとおり遺族補償年金合計金一三二万七、九九一円を受給したことは認める。
(五)の事実は不知。
4 同4項について
争う。
三 被告らの抗弁
1 被告会社の免責の抗弁
(一) 被告佐藤車と被告土方車は、約五〇メートルの車間距離を保つて秋田市方向に向かつて進行し、本件事故現場に差しかかつた。まず、先行の被告佐藤車を運転していた被告佐藤は、前方に亡林運転の自動二輪を認め、これを追い越すべくハンドルをわずか右に切り、センターラインをまたぎ、約一・五メートルの間隔を置いて右自動二輪を追い越した。次いで、後続の被告土方車を運転していた被告土方も、先行車同様、右自動二輪を追い越すべく、ハンドルをわずか右に切り、センターラインをまたぎ、十分の間隔を置いて右自動二輪を追い越そうとしたが、両車が併進した際、亡林が突然右側に転倒したため、その頭部を被告土方車の後車輪に轢かれるに至つたものであり、被告土方車は右自動二輪にはまつたく接触していない。
(二) このように、被告佐藤及び同土方は、亡林運転の自動二輪と十分な間隔を置いて追い越したものであるから、右被告両名にはまつたく過失がない。一方、亡林は、運転免許を持つていたものの、平素、自動二輪に乗ることが少く、たまたま当日は国鉄ストにあたり、通勤のためにこれを運転するに至つたものであつて、同人がなんら理由もなく転倒しているところからみれば、本件事故は、亡林の運転未熟によるものか、あるいは、同人の二日酔いの影響によつて発生したものというべきである。
(三) 以上のとおり、被告佐藤及び同土方は、自動車の運行に関し注意を怠つておらず、本件事故は、亡林が運転未熟のため自ら転倒するという同人の過失に基づいて発生したものであり、被告佐藤車及び被告土方車に構造上の欠陥又は機能の障害はなかつたから、被告会社に自賠法三条に基づく責任はない。
2 過失相殺の抗弁
仮に、被告らに損害賠償責任があるとしても、本件事故の発生につき、亡林にも前記のような過失があるうえ、亡林は、被告佐藤車の追越しによつて自動二輪の安定を失つたにもかかわらず、直ちに停止することなく、不安定なまま約二五メートルも運転を継続して、縁石に接触し、進行方向右側に転倒するに至つたものであるから、亡林には、不安定なまま自動二輪の運転を継続した過失もある。
亡林の右過失は、過失相殺の対象として、被告らの損害賠償額を定めるにつき斟酌されるべきである。
3 遺族補償年金受給の抗弁
(一) 原告上野美千は、本件事故により夫の亡林が死亡したことにより、地方公務員災害補償法に基づき、基金から、昭和五二年一〇月一三日までの間に合計金二一〇万一、八一〇円の遺族補償年金を受給しているので、右金額は、同原告の損害賠償請求額から控除されるべきである。
(二) 原告上野美千は、被告らよりたとえ損害賠償金を受領しても、前記遺族補償年金の支給を停止されることなく、同原告の生存中は、引続き少くとも年金七九万五、一一六円(毎年三月、六月、九月、一二月にそれぞれ支給を受ける金一九万八、七七九円の合算額)の支給を受ける。
同原告は、昭和一八年八月一三日生の女性で、平均余命が四四・五六歳あり、したがつて、今後四四年間は少くとも毎年金七九万五、一一六円の遺族補償年金の支給を受けることになるので、これをホフマン方式により中間利息を控除して現在の価格に引き直すと、次の算式により金一、八二二万六、四四四円となる。
795,116円×22.923=18,226,444円
右の金一、八二二万六、四四四円は、同原告の損害賠償請求額より控除されるべきである。
なお、原告上野美千は、同原告が既に現実に受給している遺族補償年金はともかく、将来受給すべき分は損害賠償請求額より控除すべきでないと主張し、その理由として、同原告が将来婚姻したときは遺族補償年金の受給資格を失うことになるから、不当な結果を生じるという。しかし、これは著しく公平を欠く。何故ならば、同原告は、自己の損害額算出にあたつては、亡林の死亡当時の職業が今後も続くことを前提にしているのである。亡林は、もしも本件事故に遇わなかつたとしても地方公務員退職前に死亡するかもしれないし、あるいは、停年前に退職するかもしれない。それにもかかわらず、これらをまつたく考慮せずに停年までその職にあるものとして損害額を算出している以上、同原告の遺族補償年金についても、現在の受給状態が将来も存続するものとしてその利得を算出すべきである。自己の損害額については本件事故当時の状態を前提にし、他方、自己の利得については将来の変動を予測してこれを否定することは、衡平の観念に反し、許されない。
四 抗弁に対する原告らの認否
1 抗弁1項について
争う。
2 同2項について
争う。
3 同3項について
(一)のうち、原告上野美千が既に受給した分として損害てん補額に計上している金一三二万七、九九一円を超える遺族補償年金を受給したことは否認する。
(二)のうち、原告上野美千が将来受給する遺族補償年金を同原告の損害賠償請求額より控除すべきであるとの主張は争う。
遺族補償年金は、受給権者が死者の遺族であるという資格のもとに法律の規定によりこれを受領するものであり、死者の逸失利益の損害を発生させた不法行為に直接起因するものではなく、両者は、権利主体及び発生原因を異にするから、本来、遺族補償年金は、逸失利益の算定にあたり控除すべき利得ではない。ただし、遺族補償は、扶養者の死亡によつてもたらされる遺族自身の被扶養利益の喪失をてん補すべきもので、死亡した扶養者の得べかりし収入を前提とし、この収入によつて生計を維持していた者に給付されるものであるから、遺族が現実に遺族補償年金を受領した場合は、その価額の限度で逸失利益が減縮するものと解すべきである。このように解さないと、本件の場合、原告上野美千が将来婚姻したときは、地方公務員災害補償法三四条の規定により遺族補償年金の受給資格を失うことになり、不当な結果を生じる。
第三証拠〔略〕
理由
一 本件事故の発生について
請求原因1項のうち、(一)ないし(四)の事実は当事者間に争いがなく、(五)のうち、被告土方車が亡林の頭部を左後輪で轢き、亡林が即死したことは当事者間に争いがない。なお、本件事故の発生状況の詳細は、後記責任原因の項で認定したとおりである。
二 責任原因について
1 被告佐藤、同土方について
(一) いずれも成立に争いのない甲第六号証、第三一号証、第三四号証、第三六号証、第三七号証の一、二、第三八号証、第四〇、四一号証、第四三ないし第四八号証、証人上野明の証言及び原告上野美千本人尋問の結果を総合すると、本件事故現場の道路は、車道幅員七・七メートルのアスフアルト舗装された直線道路で、見通しは良く、交通量の多い国道であること、右道路には中央線が引かれ、車道片側幅員は、被告佐藤車、同土方車及び亡林運転の自動二輪が当時進行していた両羽橋方面より松山街道十字路方面に向かつて、左側部分が三・七五メートル、右側部分が三・九五メートルであり(以下、左右の表示は、右各車両の進行方向より見る。)、右車道の左右両端には、高さ〇・一九メートル、幅〇・一八メートルのコンクリート製の縁石が続き、右縁石にしきられて、右車道の左側には、幅員二・一三メートル、右側には幅員二・一五メートルの歩道があること、本件事故当時、被告佐藤は、長さ七・四メートル、幅二・四六メートル、高さ二・八一メートル、車両重量九、一六〇キログラム、最大積載量一〇・五トンの、砂利を満載した被告佐藤車(いわゆるダンプカー)を運転して時速約六四キロメートルで、被告土方は、長さ七・六メートル、幅二・四七メートル、高さ二・九メートル、車両重量九、一八五キログラム、最大積載量一〇・五トンの、砂利を満載した被告土方車(いわゆるダンプカー)を運転して被告佐藤車の後方約五〇メートルを追随して、それぞれ両羽橋方面より松山街道十字路方面に向かつて進行し、本件事故現場付近の道路に差しかかつたこと、被告佐藤は、右事故現場付近の車道左端縁石から約一メートル道路中央寄りを同一方向に時速約五〇キロメートルで進行している亡林運転の自動二輪(排気量一二五CC)を認め、これをその後方約七・五メートル付近より追い抜こうとして、従前の速度のまま、右自動二輪の右側方を、そのハンドル右端からわずか約〇・五メートルの間隔を保持したのみで追い抜いたこと、亡林運転の自動二輪は、被告佐藤車に追い抜かれるまでは、蛇行したり、ふらつくことなく、安定した状態で直進していたが、追い抜かれた後は、走行状態が安定を欠き、左右に幅約一メートル程度ふらつく蛇行状態となり、被告佐藤車と並進後約一二メートル進行した地点から長さ四・五メートルの制動痕を、車道左端縁石から道路中央寄り約〇・四メートル付近に残したうえ、右縁石に接触し、その反動で、右縁石から道路中央寄り約一・一メートル付近に転倒し、その結果、亡林は、路上に投げ出されるように転倒したところを、後方より進行して来た被告土方車の左後輪に頭部を轢かれ、即死したこと、被告土方は、前記のとおり被告佐藤車に追随して時速約六〇キロメートルで進行中、被告佐藤車が亡林運転の自動二輪を追い抜いた直後、走行状態が安定を欠き、左右に幅約一メートル程度ふらつく蛇行状態で、前記縁石から約一メートル道路中央寄りを進行している右自動二輪を前方約二五メートルの地点に認めたが、速度を時速約五五キロメートルに減じたのみで右自動二輪にそのまま接近し、さらに、前方約一〇メートル付近で右自動二輪が前記のとおり制動をかけて瞬時姿勢が制禦されたのを見て、走行状態が正常に復したものと軽信し、追い抜きをかけたところ、右自動二輪が前記縁石に接触したのを発見し、右接触の反動で、右自動二輪が自車進路上に転倒して来る危険を感じ、ハンドルを右に転把しようとしたが、対向車があつたために十分に右ハンドル転把ができないまま、前記のとおり路上に転倒した亡林の頭部を自車左後輪でい轢たこと、亡林は、昭和三八年七月二五日に自動二輪の運転免許を取得し、昭和四三年ころから約二年間、自動二輪で通勤していたことがあるほか、その後も時折り通勤に利用し、日頃、家事や魚釣りなどでも自動二輪を利用していたこと、亡林は、通勤途中本件事故に遭遇したものであること、亡林は、かつて中耳炎を患つたため、右耳の聴力が劣り、日頃補聴器を所持して、会議などの席ではこれを使用することはあつたが、日常の家庭生活などでは補聴器を使用せず、本件事故当時も補聴器を使用していなかつたこと、以上の各事実が認められ、右認定に反する甲第五二号証は、前掲各証拠と対比してにわかに信用し難く、他に、右認定を左右するに足りる証拠はない。
(二) 右認定した各事実に基づいて、被告佐藤、同土方の過失の有無について判断する。
まず、被告佐藤について検討するに、同被告は、一〇・五トン積みの大型貨物自動車に砂利を満載して、時速約六四キロメートルもの速度で亡林運転の自動二輪の右側方を、そのハンドル右端からわずか約〇・五メートルの間隔を保持したのみで追い抜いたものであること、右自動二輪の左側方約一メートルの車道左端には前記縁石があつて、右自動二輪は、被告佐藤車から追い抜かれる際危険を感じたとしても、急にそれ以上左寄りに避譲し難い状況にあつたこと、追い抜かれるまでは安定した走行状態で直進していた右自動二輪が、その直後不安定にふらつく蛇行状態になつたこと、亡林の自動二輪の運転技術について、長年の使用状況からみて格別未熟な点のあつたことは証拠上窺われず、また、本件事故当時運転不適当な健康状態にあつたことを認めるに足りる証拠はないこと、以上の諸点を総合判断すると、亡林運転の自動二輪が被告佐藤車に追い抜かれた直後不安定にふらつく蛇行状態になつたうえ、路上に転倒した原因は、被告佐藤が前記のとおり重量のある大型貨物自動車である被告佐藤車を疾走させて右自動二輪を追い抜く際、十分安全な間隔を保持しなかつたことによる被告佐藤車の風圧及び動揺並びにそれによる亡林の驚愕、狼狽にあると推認するに十分である。そして、一般に、前記のような重量のある大型車両が前記のような道路状況のもとで進行している自動二輪の右側方を、そのハンドル右端からわずか約〇・五メートルの間隔を保持したのみで、時速約六四キロメートルもの速度で疾走すれば、右大型車両の風圧及び動揺並びにそれによる自動二輪の運転者の驚愕、狼狽により、自動二輪が走行の安定性を欠き、その結果、路上に転倒して、その運転者が右大型車両あるいは後続車両に轢かれる事態が発生することは、経験則上予見可能というべきところ、被告佐藤において、亡林運転の自動二輪を追い抜く際十分安全な間隔を保持していたならば、本件事故の発生は十分回避可能であつたと認められるから、原告ら主張のとおり、本件事故は、被告佐藤が右自動二輪を追い抜く際に十分安全な間隔を保持しなかつた過失により発生したものというべきである。
次に、被告土方について検討するに、同被告は、走行状態が安定を欠き、左右に幅約一メートル程度ふらつく蛇行状態で車道左端の縁石から約一メートル道路中央寄りを進行している亡林運転の自動二輪を前方約二五メートルの地点に認めたのであるから、このような場合、右自動二輪の動静に十分注意したならば、右自動二輪が蛇行し、あるいは縁石に接触するなどして、自車進路上に進出して転倒し、自車がこれを轢く事態が発生することは、十分予見可能であつたというべきである。そして、その場合、被告土方において、直ちに急停止して右自動二輪の安全を確認したならば、本件事故の発生は十分回避可能であつたと認められるところ、同被告は、右のような措置をとらず、速度を時速約六〇キロメートルから約五五キロメートルに減じたのみで進行し、そのために本件事故が発生したものであるから、本件事故は、被告土方が進路前方を安定を欠いて異常な状態で進行する右自動二輪を認めながら、その動静に十分注意して急停止の措置をとることを怠つた過失により発生したものというべきである。
してみれば、被告佐藤、同土方は、各自、民法七〇九条に基づき、本件事故により生じた損害を賠償すべき義務があるといわなければならない。
2 被告会社について
被告会社が被告佐藤車、同土方車の保有者であることは当事者間に争いがないところ、被告佐藤、同土方の無過失を前提とする被告会社の免責の抗弁が理由のないことは、既に判示したところから明らかであるから、被告会社は、自賠法三条に基づき、運行供用者として、本件事故により生じた損害を賠償すべき義務があるといわなければならない。
3 過失相殺の抗弁について
被告らは、亡林の過失として、まず、運転技術の未熟と同人が二日酔い状態にあつたことを主張するが、亡林が走行状態の安定を欠いて蛇行したうえ路上に転倒したのは、前認定のとおり、被告佐藤が十分安全な間隔を保持せずに追い抜いたからであり、その追抜き態様並びに亡林の長年の自動二輪の使用状況に鑑みれば、亡林が右のように走行の安定を欠いたことについて、過失相殺に値する程の同人の運転技術の未熟が作用したとは到底認め難い。また、本件事故当時、亡林が二日酔い状態にあつたことは、これを認めるに足りる証拠はない。
次に、被告らは、亡林の過失として、被告佐藤車の追越し(追抜き)によつて自動二輪の安定を失つたにもかかわらず、直ちに停止せずに、転倒するまで不安定なまま約二五メートルも運転を継続したことを主張するが、前認定のとおり時速約五〇キロメートルの速度で進行していた亡林運転の自動二輪が、走行の安定を欠いた状態で直ちに制動措置をとることは、その構造上、かえつて転倒の危険が極めて大きいことは多言を要しないところであり、亡林は、前認定のとおり、被告佐藤車と並進後約一二メートル進行した地点から制動措置をとつているのもであつて、亡林が右の約一二メートル進行する間走行状態の安定を回復すべく努力した後、これが回復しないまま、やむなく制動措置をとつたことは推認するに難くないから、そこに被告ら主張の過失はもちろん、その余の過失をも見出すことは著しく困難である。
その他、本件全証拠によるも、亡林について、斟酌に値する程の過失は認め難いから、被告らの過失相殺の抗弁は理由がない。
三 損害について
1 亡林の損害(逸失利益)について
(一) 山形県事務職員としての得べかりし収益
(1) いずれも成立に争いのない甲第三号証、第五五、五六号証、証人高橋正の証言によつて成立の認められる甲第七号証(原本の存在は当事者間に争いがない。)、右高橋証言及び原告上野美千本人尋問の結果によれば、亡林は、山形県立酒田東高等学校を昭和三一年三月に卒業し、昭和三五年四月一日から山形県事務職員(吏員)となつて、山形県教育委員会に勤務し、昭和四〇年四月一日事務主事となり、本件事故当時、山形県立酒田北高等学校の事務主事をしていたこと、亡林は、昭和一三年三月二〇日生で、前認定のとおり右耳の聴力が劣つていたほかは健康体であつたこと、山形県事務職員には停年制はないが、通常は五九歳で退職勧奨を受け、それに応じて勧奨退職する者もあれば、応ぜずに五九歳を越えて勤務する者もあること、勧奨退職の場合は、退職時の基本給が特別に昇給し、また、退職手当の算定に際し、退職時の基本給に乗じる支給率も普通退職に比べ高率であること、以上の各事実が認められ、右認定に反する証拠はない。
右認定事実によれば、亡林は、原告ら主張のとおり、平均余命の範囲内である六〇歳に達する年である昭和七三年一二月末日まで山形県事務職員として勤務しえたものというべきであるが、その間の亡林の得べかりし収益は、勧奨退職ではなく、普通退職をするものとして算定するのが相当である。
(2) 前掲甲第五五、五六号証によれば、山形県職員の給与は、給与条例の規定するところにより支給されることが明らかなところ、山形県事務職員の給与について、昭和四九年四月一日から昭和五〇年三月末日までの給与額は、昭和四九年一二月一八日号外県条例第六三号「山形県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例」により改正増額され(右改正後の給与条例が前掲甲第五五号証に登載されたものである。)、さらに、昭和五〇年四月一日以降の給与額は、昭和五〇年一二月二五日号外県条例第六〇号「山形県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例」により改正増額されているので(右改正後の給与条例が前掲甲第五六号証に登載されたものである。)、亡林の得べかりし給与を算定するにあたつては、原告ら主張のとおり、昭和四九年四月一日から昭和五〇年三月末日までの給与及び昭和五〇年四月一日以降の給与は、右のとおり既に改正増額された給与額に基づくのが相当である。
(イ) 基本給
山形県職員の将来の昇給見込みは、給与条例六条により、職員等が現に受けている号給を受けるに至つた時から一二月を下らない期間を良好な成績で勤務したときは、一号給上位の号給に昇給させることができることになつているところ、前掲甲第七号証及び証人高橋正の証言によれば、山形県においては、特に不成績、不都合のない限り、一年一回昇給させているのが実情であり、亡林も、過去少くとも年一回は昇給していたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
次に、昇格は、前掲甲第五六号証に登載された格付基準表(なお、甲第八号証の格付基準表は、内容において正確性に疑問があり、採用できない。)によれば、吏員の場合、五等級から四等級に昇格するのは、五等級在級年数六年以上及び現在の給料月額が五等級一一号給以上の場合若しくは吏員としての在職年数五年以上又は五等級在級年数五年以上及び現在の給料月額が五等級一七号給以上の場合であり、四等級から三等級に昇格するのは、四等級在級年数八年以上及び現在の給料月額が四等級一八号給以上の場合であることが認められる。
ところで、前掲甲第七号証及び弁論の全趣旨によれば、亡林は、昭和四六年一〇月一日五等級に昇格し、昭和四八年一月一日に特別昇給して、本件事故前まで五等級八号給を得ていたが、次期定期昇給期は同年一〇月一日であつたことが認められ、右認定に反する証拠はない。
そこで、以上に基づき、毎年一〇月一日定期昇給で一号給昇給するものとし、昇格は、前期昇格基準を充たしたときに直近上位号給に昇格するものとして、亡林の退職時までの基本給を確定すると、五等級から四等級への昇格が昭和五二年一〇月一日で、そのときに五等級一三号から四等級一〇号になるほかは、原告らが別紙計算書(一)で主張しているとおりであるから、結局、昭和五一年一〇月一日の定期昇給の「基本給」欄の金額を五等級一二号給の一三万四、四〇〇円に訂正するほかは、右計算書(一)の「基本給」欄記載のとおりであると認められる(なお、成立に争いのない甲第五七号証登載の行政職給料表により、昇格後の号給は、五等級一三号からは四等級一〇号に、四等級一八号からは三等級一三号になるものと認定した。)。
(ロ) 扶養手当
前掲甲第三号証、第五五、五六号証及び弁論の全趣旨によれば、亡林は、給与条例一一条により、母上野みつ、長男原告上野修一、長女原告上野佐知について、それぞれ原告ら主張のとおりの扶養手当(ただし、原告上野修一については、その終期は昭和六二年一月までが正しい。)の支給を受けることができたものと認められる。その月毎の合計額は、昭和四八年一〇月から昭和四九年三月までが金二、四〇〇円、昭和四九年四月から昭和五〇年三月までが金三、四〇〇円、昭和五〇年四月から昭和五一年五月までが金四、四〇〇円、昭和五一年六月から昭和六二年一月までが金四、〇〇〇円、昭和六二年二月から昭和六六年八月までが金二、〇〇〇円となる。
(ハ) 時間外手当
給与条例一五条によれば、正規の勤務時間をこえて勤務することを命ぜられた職員等が正規の勤務時間をこえて勤務したときは、一定割合の時間外勤務手当を支給されることが明らかであるが、右手当は、その性質上、原告ら主張のように毎月基本給の六パーセント相当額が支給されるものでないことは多言を要しないところであり、一方、将来にわたつて亡林が毎月どれ程の時間外勤務をするかを確定するには証人高橋正の証言をもつてしても十分でなく、他にこれを確定するに足りる的確な証拠はない。
してみれば、時間外手当は、亡林の逸失利益として認め難いといわざるをえない。
(ニ) 三月期末手当、六月期末手当、寒冷地手当、一二月期末手当
前掲甲第五五、五六号証登載の給与条例に弁論の全趣旨を総合すると、亡林は、将来にわたつて原告ら主張のとおりの三月期末手当、六月期末手当、寒冷地手当、一二月期末手当の支給を受けることができたものと認められ、右認定に反する証拠はない。
以上に基づき、亡林の昭和四八年一〇月一日から昭和七三年一二月末日までの得べかりし給与(基本給及び諸手当)を算出すると、別紙計算書(四)記載のとおりとなる。
(3) 退職手当
前掲甲第五六号証登載の退職手当条例によれば、山形県職員が退職する際は、右条例の定めるところにより退職手当が支給されることが明らかなところ、亡林が昭和七三年一二月末日まで三八年九か月勤務した後普通退職した場合の退職手当額を算出すると、右条例五条により、次の算式によつて金一、一九〇万二、七五二円となる。
<省略>
ところで、弁論の全趣旨によれば、亡林について、本件事故による死亡により金一七〇万三、七三〇円が退職手当として支給されたことが認められるから、右認定の退職時の金額より右金額を差し引いた金一、〇一九万九、〇二二円が亡林の退職手当についての逸失利益の損害となる。
そこで、これを死亡時に一時に支払われるものとして、ホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除すると(なお、本件の場合、中間利息の控除方法についてホフマン式計算法にも合理性があると認められるから、被告ら主張のライプニツツ式計算法は採用しない。)、次の算式により金四五三万二、八九八円となる。
<省略>
なお、被告らは、退職手当の額を損害に計上するのであれば地方公務員等共済組合法に基づく掛金を退職手当の額より控除すべきであると主張するが、右掛金は同法に基づく給付を受けるためのものであるのに対し、退職手当は退職手当条例に基づき支給されるものであつて、同法に基づく給付でないことは明らかであるから、右主張は失当である。
(二) 退職後の得べかりし収益
証人高橋正の証言に経験則を総合して判断すると、亡林は、昭和七三年一二月末日に山形県職員を退職した後、なお平均余命の範囲内である五年間他に就職して稼働しえたものと推認することができる。
その場合の収入は、経験則に照らして退職時の基本給より相当程度減額するのが通常であるから、これを控え目に認定することとし、前認定の退職時の基本給月額金二二万三、四〇〇円の四割に相当する月額金八万九、三六〇円と認定するのが相当である。
したがつて、年額金一〇七万二、三二〇円となる。
(三) 生活費及び中間利息の控除
(1) 生活費控除
前認定の亡林の死亡当時の年齢、職業、収入並びに前掲甲第三号証及び原告上野美千本人尋問の結果によつて認められる家族構成を総合し、かつ、経験則に照らして判断すると、前認定の退職時までの給与(基本給及び諸手当)及び退職後の収益から亡林の生活費として四割を控除するのが相当である。
(2) 中間利息控除
前認定の亡林の昭和四八年から昭和七八年までの総収益を昭和四八年一二月末日一時に支払いを受けるものとし(本来、死亡時である同年九月二六日に一時に支払いを受けるものとして中間利息の控除をすべきであるが、計算の便宜上、右死亡時に近い同年一二月末日とした。)、ホフマン式計算法により年五分の中間利息を控除すると、別紙計算書(五)記載のとおり、合計金三、一六五万三、二六八万円となる。
(四) 逸失利益の合計
亡林の逸失利益は、別紙計算書(五)記載のとおり算出された金三、一六五万三、二六八円と中間利息控除後の退職手当差額金四五三万二、八九八円の合計額金三、六一八万六、一六六円となる。
(五) 相続
前掲甲第三号証によれば、原告上野美千は亡林の妻であり、原告上野修一、同上野佐知は亡林の嫡出子であつて、右三名が亡林の相続人であることが認められるから、右原告らは、亡林の逸失利益の損害合計金三、六一八万六、一六六円の賠償請求権を法定相続分各三分の一の割合で承継したものと認められる。
2 原告上野美千の積極損害(葬儀費用)について
いずれも弁論の全趣旨により成立の認められる甲第一一号証の一、二、第一二号証、第一三号証の一、二、第一四、一五号証、第一六号証の一、二、第一七ないし第二四号証及び原告上野美千本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、原告上野美千は、亡林の妻として、亡林の葬儀及び三五日法要を行い、合計四五万七、八一五円を支出したことが認められるが(なお、同原告がそれ以上の金額を支出したことを認めるに足りる証拠はない。)、社会通念に照らすとき、亡林の死亡当時の職業、社会的地位等に鑑みて、本件事故と相当因果関係のある損害と認めるべき葬儀費用(法要の費用を含む。)は、金四〇万円と認定するのが相当である。
3 原告らの慰藉料について
(一) 原告上野美千、同上野修一、同上野佐知が本件事故により夫あるいは父である亡林を失つて多大の精神的苦痛を被つたことは推察するに難くない。その慰藉料は、右原告ら主張のとおり、右原告ら各自につき金一五〇万円と認定するのが相当である。
(二) 証人上野明の証言及び弁論の全趣旨によれば、亡上野萬寿吉、同みつは亡林の父母で、本件事故当時亡林と同居していたことが認められるところ、右両名も本件事故により子である亡林を失つて相当な精神的苦痛を被つたことは察するに難くない。その慰藉料は、右両名各自につき金五〇万円と認定するのが相当である。
ところで、証人上野明の証言及び原告上野美千本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨によれば、亡上野萬寿吉は昭和五〇年五月七日死亡し、また、同みつは昭和五一年五月二九日死亡し、それぞれ相続が開始したが、亡上野萬寿吉の相続人は、配偶者亡上野みつ、嫡出子原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子及び亡林の代襲相続人原告上野修一、同上野佐知であり、亡上野みつの相続人は、亡上野萬寿吉の相続人のうち亡上野みつを除いたその余の者らであることが認められるから、結局、亡上野萬寿吉、同みつの慰藉料請求権合計金一〇〇万円について、原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子が、各自、法定相続分五分の一に相当する金二〇万円宛、原告上野修一、同上野佐知が、各自、法定相続分一〇の一に相当する金一〇万円宛それぞれ承継したものと認められる。
4 損害のてん補について
(一) 原告らが昭和四八年一二月一三日自賠責保険金五〇〇万円の支払いを受けたことは当事者間に争いがない。
右保険金五〇〇万円を亡林の逸失利益の損害合計金三、六一八万六、一六六円に充当することにつき被告らは明らかにこれを争わないから、右損害に右保険金を充当することにする。
そうすると、原告上野美千、同上野修一、同上野佐知が右逸失利益の損害について相続により承継した右損害てん補後の金額は、各金一、〇三九万五、三八八円となる。
(二) 原告上野美千が亡林の死亡により地方公務員災害補償法の規定に基づき、遺族補償年金として基金より昭和五〇年六月二四日金二三万〇、一〇八円、同年九月二五日金二三万七、八二四円、同年一二月二三日金二〇万二、三二八円、昭和五一年三月二五日金二一万七、五七九円、同年六月二二日金二二万〇、〇七六円、同年九月二四日金二二万〇、〇七六円、以上合計金一三二万七、九九一円を受給したことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第一号証及び証人矢萩昭一の証言によれば、原告上野美千は、その後も、昭和五一年一二月二二日金一七万七、四八二円、昭和五二年三月、六月、九月に各金一九万八、七七九円を受給していることが認められるから、被告ら主張のとおり、原告上野美千は、既に基金から合計金二一〇万一、八一〇円の遺族補償年金を受給していることが計算上明らかである。
地方公務員災害補償法五九条一項は、基金は、補償の原因である災害が第三者の行為によつて生じた場合に補償を行なつたときは、その価額の限度において、補償を受けた者が第三者に対して有する損害賠償請求権を代位取得する旨規定しており、右規定によれば、原告上野美千が既に基金から受給した遺族補償年金二一〇万一、八一〇円の限度で、基金が同原告の被告らに対する損害賠償請求権を代位取得したものというべきであるから、同原告の損害から右金額を控除するのが相当である。
ところで、被告らは、原告上野美千は、毎年、基金より遺族補償年金七九万五、一一六円を生涯にわたつて支給されることになつているから、同原告の平均余命の範囲内である今後四四年間の支給額合計金一、八二二万六、四四四円(年五分の中間利息の控除につきホフマン式計算法を採用したもの)を同原告の損害額から控除すべきであると主張する。
しかしながら、前示した地方公務員災害補償法五九条一項の規定及び補償の原因である災害が第三者の行為によつて生じた場合において、補償を受けるべき者が当該第三者から同一の事由につき損害賠償を受けたときは、基金は、その価額の限度において補償の義務を免れる旨の同条二項の規定は、補償の原因である災害が第三者の不法行為によつて生じた場合、受給権者に対する第三者の損害賠償義務と基金の災害補償の義務とは相互補完の関係にあり、同一事由による損害の二重てん補を認めるものではない趣旨を明らかにしているが、同条の趣旨よりすれば、基金が遺族補償年金受給権者の加害者たる第三者に対する損害賠償請求権を代位取得し、受給権者がこれを失うのは、現実に遺族補償年金を支給して右受給権者の損害をてん補したときに限られ、いまだ現実の支給がない以上、たとえ将来にわたり継続して支給されることが確定していても、受給権者は第三者に対し損害賠償の請求をするにあたり、このような将来の支給額を損害額から控除することを要しないと解するのが相当である(最高裁判所第三小法廷昭和五二年五月二七日判決、民集三一巻三号四二七頁参照)。
これと異なる被告らの主張は失当であるから採用できない。
以上に基づき、原告上野美千が亡林の逸失利益の損害について相続により承継した損害てん補後の損害残額金一、〇三九万五、三八八円、葬儀費用金四〇万円、慰藉料金一五〇万円、以上の合計金額から既に受給した遺族補償年金二一〇万一、八一〇円を差し引くと、金一、〇一九万三、五七八円となる。
5 弁護士費用について
原告上野美千、同上野修一、同上野佐知が原告ら訴訟代理人弁護士佐藤悌治に対し、本件訴訟の追行を委任したことは本件記録上明らかなところ、その弁護士費用のうち、本件事故と相当因果関係の範囲内にある損害と認めるべき金額は、本件訴訟の経緯、難易度、右原告らの請求認容額(弁護士費用を除く。)等に鑑みて、右原告ら各自につき金五〇万円と認定するのが相当である。
四 結論
以上によれば、被告らは、各自、
1 原告上野美千に対し、前項4(二)の遺族補償年金控除後の損害残額金一、〇一九万三、五七八円と同項5の弁護士費用金五〇万円の合計金一、〇六九万三、五七八円及び右弁護士費用を除いた内金一、〇一九万三、五七八円に対する不法行為後である昭和四九年一月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を
2 原告上野修一、同上野佐知に対し、前項4(一)の亡林の逸失利益の損害についての相続分の損害てん補後の残額各金一、〇三九万五、三八八円、同項3(一)の慰藉料各金一五〇万円、同項3(二)の亡上野萬寿吉、同みつの慰藉料についての相続分各金一〇万円、同項5の弁護士費用各金五〇万円、以上合計各金一、二四九万五、三八八円及び右弁護士費用を除いた内金一、一九九万五、三八八円に対する不法行為後である昭和四九年一月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を、
3 原告上野明、同上野寿、同上野久美子、同渡部順子に対し、前項3(二)の亡上野萬寿吉、同みつの慰藉料についての相続分各金二〇万円及びこれに対する不法行為後である昭和四九年一月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金をそれぞれ支払うべき義務がある。
よつて、原告らの被告らに対する本訴各請求は、右の限度で理由があるから認容し、その余はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行の宣言について同法一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 横山匡輝)
計算書(一)
<省略>
計算書(二)の1
48年度 給料 10~12 92,924×3=278,772
12月 期末手当 87,800×2.6=228,280
507,052
49年度 給料 1~3 92,924×3=278,772
〃 4~9 119,429×6=715,544
〃 10~12 124,454×3=373,362
3月 期末手当 87,800×0.5=43,900
6月 〃 114,300×2.0=228,600
8月 寒冷地手当 37,500+(114,300×0.45)=89,235
12月 期末手当 117,800×2.7=318,060
2,048,473
50年度 給料 1~3 124,454×3=373,362
〃 4~9 137,654×6=825,924
〃 10~12 141,764×3=425,292
3月 期末手当 117,800×0.5=58,900
6月 〃 131,000×2.0=262,000
8月 寒冷地手当 43,800+(131,000×0.45)=102,750
12月 期末手当 134,900×2.7=364,230
2,412,458
51年度 給料 1~9 141,764×9=1,275,876
〃 10~12 153,330×3=459,990
3月 期末手当 134,900×0.5=67,450
6月 〃 134,500×2.0=269,000
8月 寒冷地手当 43,800+(134,500×0.45)=104,325
12月 期末手当 145,100×2.7=391,770
2,568,411
52年度 給料 1~9 153,330×9=1,379,970
〃 10~12 159,066×3=477,198
3月 期末手当 145,100×0.5=72,550
6月 〃 145,100×2.0=290,200
8月 寒冷地手当 43,800+(145,100×0.45)=109,095
12月 期末手当 150,200×2.7=405,540
2,734,553
53年度 給料 1~9 159,066×9=1,431,594
〃 10~12 164,472×3=493,416
3月 期末手当 150,200×0.5=75,100
6月 〃 150,200×2.0=300,400
8月 寒冷地手当 93,800+(150,200+0.45)=111,390
12月 期末手当 155,300×2=419,310
2,831,210
54年度 給料 1~9 164,472×9=1,480,248
〃 10~12 169,878×3=509,634
3月 期末手当 155,300×0.5=77,650
6月 〃 155,300×2.0=310,600
8月 寒冷地手当 94,800+(155,300×0.45)=113,685
12月 〃 160,300×2.7=432,810
2,924,627
55年度 給料 1~9 169,878×9=1,528,902
〃 10~12 175,184×3=525,552
3月 期末手当 160,400×0.5=80,200
6月 〃 160,400×2.0=320,800
8月 寒冷地手当 43,800+(160,400×0.45)=115,980
12月 期末手当 165,400×2.7=446,580
3,018,014
56年度 給料 1~9 175,184×9=1,576,656
〃 10~12 180,484×3=541,452
3月 期末手当 165,400×0.5=82,700
6月 〃 165,400×2.0=330,800
8月 寒冷地手当 43,800+(165,400×0.45)=118,230
12月 期末手当 170,400×2.7=460,080
3,109,918
57年度 給料 1~9 180,484×9=1,624,356
〃 10~12 185,284×3=555,852
3月 期末手当 170,400×0.5=85,200
6月 〃 170,400×2.0=340,800
8月 寒冷地手当 43,800+(170,400×0.45)=120,480
12月 期末手当 174,900×2.7=472,230
3,198,918
計算書(二)の2
58年度 給料 1~9 185,284×9=1,667,556
〃 10~12 189,754×3=569,262
3月 期末手当 174,900×0.5=87,450
6月 〃 178,900×2.0=349,800
8月 寒冷地手当 43,800+(174,900×0.45)=122,505
12月 期末手当 179,100×2.7=4,83,570
3,280,143
59年度 給料 1~9 189,754×9=1,707,786
〃 10~12 194,206×3=582,618
3月 期末手当 179,100×0.5=89,550
6月 〃 179,100×2.0=358,200
8月 寒冷地手当 43,800+(179,100×0.45)=124,395
12月 期末手当 183,300×2.7=494,910
3,357,459
60年度 給料 1~9 194,206×9=1,747,854
〃 10~12 205,858×3=617,574
3月 期末手当 183,300×0.5=91,650
6月 〃 183,300×2.0=366,800
8月 寒冷地手当 43,800+(183,300×0.45)=126,285
12月 期末手当 194,700×2.7=525,690
3,475,653
61年度 給料 1~9 205,858×9=1,852,722
〃 10~12 212,442×3=637,326
3月 期末手当 194,700×0.5=97,350
6月 〃 194,700×2.0=389,400
8月 寒冷地手当 43,800+(194,700×0.45)=131,415
12月 期末手当 200,600×2.7=541,620
=3,649,833
62年度 給料 1 212,442×1=212,442
〃 2~7 210,442×6=1,262,652
〃 8~9 208,442×2=416,884
〃 10~12 216,496×3=649,488
3月 期末手当 198,600×0.5=99,300
6月 〃 198,600×2.0=397,200
8月 寒冷地手当 43,800+(196,600×0.45)=132,270
12月 期末手当 204,300×2.7=551,610
3,721,846
63年度 給料 1~9 216,496×9=1,948,464
〃 10~12 222,538×3=667,614
3月 期末手当 204,300×0.5=102,150
6月 〃 204,300×2.0=408,600
8月 寒冷地手当 43,800+(204,300×0.45)=135,735
12月 期末手当 210,000×2.7=567,000
3,829,563
64年度 給料 1~9 222,538×9=2,002,842
〃 10~12 227,380×3=682,140
3月 期末手当 210,000×0.5=105,000
6月 〃 210,000×2.0=420,000
8月 寒冷地手当 43,800+(210,000×0.45)=138,300
12月 期末手当 214,500×2.7=579,150
3,927,432
65年度 給料 1~9 227,380×9=2,046,420
〃 10~12 232,150×3=696,450
3月 期末手当 214,500×0.5=107,250
6月 〃 214,500×2.0=429,000
8月 寒冷地手当 43,800+(214,500×0.45)=140,325
12月 期末手当 219,000×2.7=591,300
4,010,745
66年度 給料 1~8 232,150×8=1,857,200
〃 9 230,150×1=230,150
〃 10~12 233,220×3=699,660
3月 期末手当 219,400×0.5=109,200
6月 〃 219,400×2.0=438,800
8月 寒冷地手当 43,800+(219,400×0.45)=142,530
12月 期末手当 220,200×2.7=594,540
4,072,580
67年度 給料 1~9 233,220×9=2,098,980
〃 10~12 236,612×3=709,836
3月 期末手当 220,200×0.5=110,100
6月 〃 220,200×2.0=440,400
8月 寒冷地手当 43,800+(220,200×0.45)=142,890
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,105,386
計算書(二)の3
68年度 給料 1~9 236,612×9=2,129,508
〃 10~12 236,804×3=710,412
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×2.0=446,800
8月 寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,145,930
69年度 給料 1~12 236,804×12=2,841,648
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×2.0=446,800
8月 寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,147,658
70年度 給料 1~12 236,804×12=2,841,648
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×2.0=446,800
8月 寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,147,658
71年度 給料 1~12 236,804×12=2,841,648
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×2.0=446,800
8月 寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,147,658
72年度 給料 1~12 236,804×12=2,841,648
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×2.0=446,800
8月 寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,147,658
73年度 給料 1~12 236,804×12=2,841,648
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×2.0=446,800
8月 寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×2.7=603,180
4,147,658
退職金 223,400×69.3=15,481,620
計算書(三)
<省略>
計算書(四) (給料=基本給+扶養手当) (単位:円)
48年度 給料 10~12 87,800×3=263,400
12月 期末手当 87,800×2.6=228,280
計 491,680
49年度 給料 1~3 87,800×3=263,400
〃 4~9 114,300×6=685,800
〃 10~12 117,800×3=353,400
3月 期末手当 87,800×0.5=43,900
6月 〃 114,300×1.7=194,310
寒冷地手当 37,800+(114,300×0.45)=89,235
12月 期末手当 117,800×2.6=306,280
計 1,936,325
50年度 給料 1~3 117,800×3=353,400
〃 4~9 131,000×6=786,000
〃 10~12 134,900×3=404,700
3月 期末手当 117,800×0.5=58,900
6月 〃 131,000×1.7=222,700
寒冷地手当 43,800+(131,000×0.45)=102,750
12月 期末手当 134,900×2.6=350,740
計 2,279,190
51年度 給料 1~5 134,900×5=674,500
〃 6~9 134,500×4=538,000
〃 10~12 138,400×3=415,200
3月 期末手当 134,900×0.5=67,450
6月 〃 134,500×1.7=228,650
寒冷地手当 43,800+(134,500×0.45)=104,325
12月 期末手当 138,400×2.6=359,840
計 2,387,965
52年度 給料 1~9 138,400×9=1,245,600
〃 10~12 150,200×3=450,600
3月 期末手当 138,400×0.5=69,200
6月 〃 138,400×1.7=235,280
寒冷地手当 43,800+(138,400×0.45)=106,080
12月 期末手当 150,200×2.6=390,520
計 2,497,280
53年度 給料 1~9 150,200×9=1,351,800
〃 10~12 155,300×3=465,900
3月 期末手当 150,200×0.5=75,100
6月 〃 150,200×1.7=255,340
寒冷地手当 43,800+(150,200×0.45)=111,390
12月 期末手当 155,300×2.6=403,780
計 2,663,310
54年度 給料 1~9 155,300×9=1,397,700
〃 10~12 160,400×3=481,200
3月 期末手当 155,300×0.5=77,650
6月 〃 155,300×1.7=264,010
寒冷地手当 43,800+(155,300×0.45)=113,685
12月 期末手当 160,400×2.6=417,040
計 2,751,285
55年度 給料 1~9 160,400×9=1,443,600
〃 10~12 165,400×3=496,200
3月 期末手当 160,400×0.5=80,200
6月 〃 160,400×1.7=272,680
寒冷地手当 43,800+(160,400×0.45)=115,980
12月 期末手当 165,400×2.6=430,040
計 2,838,700
56年度 給料 1~9 165,400×9=1,488,600
〃 10~12 170,400×3=511,200
3月 期末手当 165,400×0.5=82,700
6月 〃 165,400×1.7=281,180
寒冷地手当 43,800+(165,400×0.45)=118,230
12月 期末手当 170,400×2.6=443,040
計 2,924,950
57年度 給料 1~9 170,400×9=1,533,600
〃 10~12 174,900×3=524,700
3月 期末手当 170,400×0.5=85,200
6月 〃 170,400×1.7=289,680
寒冷地手当 43,800+(170,400×0.45)=120,480
12月 期末手当 174,900×2.6=454,740
計 3,008,400
58年度 給料 1~9 174,900×9=1,574,100
〃 10~12 179,100×3=537,300
3月 期末手当 174,900×0.5=87,450
6月 〃 174,900×1.7=297,330
寒冷地手当 43,800+(174,900×0.45)=122,505
12月 期末手当 179,100×2.6=465,660
計 3,084,345
59年度 給料 1~9 179,100×9=1,611,900
〃 10~12 183,300×3=549,900
3月 期末手当 179,100×0.5=89,550
6月 〃 179,100×1.7=304,470
寒冷地手当 43,800+(179,100×0.45)=124,395
12月 期末手当 183,300×2.6=476,580
計 3,156,795
60年度 給料 1~9 183,300×9=1,649,700
〃 10~12 194,700×3=584,100
3月 期末手当 183,300×0.5=91,650
6月 〃 183,300×1.7=311,610
寒冷地手当 43,800+(183,300×0.45)=126,285
12月 期末手当 194,700×2.6=506,220
計 3,269,565
61年度 給料 1~9 194,700×9=1,752,300
〃 10~12 200,600×3=601,800
3月 期末手当 194,700×0.5=97,350
6月 〃 194,700×1.7=330,990
寒冷地手当 43,800+(194,700×0.45)=131,415
12月 期末手当 200,600×2.6=521,560
計 3,435,415
62年度 給料 1 200,600×1=200,600
〃 2~9 198,600×8=1,588,800
〃 10~12 204,300×3=612,900
3月 期末手当 198,600×0.5=99,300
6月 〃 198,600×1.7=337,620
寒冷地手当 43,800+(198,600×0.45)=133,170
12月 期末手当 204,300×2.6=531,180
計 3,503,570
63年度 給料 1~9 204,300×9=1,838,700
〃 10~12 210,000×3=630,000
3月 期末手当 204,300×0.5=102,150
6月 〃 204,300×1.7=347,310
寒冷地手当 43,800+(204,300×0.45)=135,735
12月 期末手当 210,000×2.6=546,000
計 3,599,895
64年度 給料 1~9 210,000×9=1,890,000
〃 10~12 214,500×3=643,500
3月 期末手当 210,000×0.5=105,000
6月 〃 210,000×1.7=357,000
寒冷地手当 43,800+(210,000×0.45)=138,300
12月 期末手当 214,500×2.6=557,700
計 3,691,500
65年度 給料 1~9 214,500×9=1,930,500
〃 10~12 219,000×3=657,000
3月 期末手当 214,500×0.5=107,250
6月 〃 214,500×1.7=364,650
寒冷地手当 43,800+(214,500×0.45)=140,325
12月 期末手当 219,000×2.6=569,400
計 3,769,125
66年度 給料 1~8 219,000×8=1,752,000
〃 9 217,000×1=217,000
〃 10~12 220,200×3=660,600
3月 期末手当 219,000×0.5=109,500
6月 〃 219,000×1.7=372,300
寒冷地手当 43,800+(219,000×0.45)=142,350
12月 期末手当 220,200×2.6=572,520
計 3,826,270
67年度 給料 1~9 220,200×9=1,981,800
〃 10~12 223,400×3=670,200
3月 期末手当 220,200×0.5=110,100
6月 〃 220,200×1.7=374,340
寒冷地手当 43,800+(220,200×0.45)=142,890
12月 期末手当 223,400×2.6=580,840
計 3,860,170
68ないし73各年度
給料 1~12 223,400×12=2,680,800
3月 期末手当 223,400×0.5=111,700
6月 〃 223,400×1.7=379,780
寒冷地手当 43,800+(223,400×0.45)=144,330
12月 期末手当 223,400×0.26=580,840
計 3,897,450
計算書(五) (単位:円)
年度 48 491,680×0.6=295,008
49 1,936,325×0.6÷1.05=1,106,471
50 2,279,190×0.6÷1.10=1,243,194
51 2,387,965×0.6÷1.15=1,245,894
52 2,497,280×0.6÷1.20=1,248,640
53 2,663,310×0.6÷1.25=1,278,388
54 2,751,285×0.6÷1.30=1,269,823
55 2,838,700×0.6÷1.35=1,261,644
56 2,924,950×0.6÷1.40=1,253,550
57 3,008,400×0.6÷1.45=1,244,855
58 3,084,345×0.6÷1.50=1,233,738
59 3,156,795×0.6÷1.55=1,221,985
60 3,269,565×0.6÷1.60=1,226,086
61 3,435,415×0.6÷1.65=1,249,241
62 3,503,570×0.6÷1.70=1,236,554
63 3,599,895×0.6÷1.75=1,234,249
64 3,691,500×0.6÷1.80=1,230,500
65 3,769,125×0.6÷1.85=1,222,418
66 3,826,270×0.6÷1.90=1,208,295
67 3,860,170×0.6÷1.95=1,187,744
68 3,897,450×0.6÷2.00=1,169,235
69 3,897,450×0.6÷2.05=1,140,717
70 3,897,450×0.6÷2.10=1,113,557
71 3,897,450×0.6÷2.15=1,087,660
72 3,897,450×0.6÷2.20=1,062,940
73 3,897,450×0.6÷2.25=1,039,320
74 1,072,320×0.6÷2.30=279,735
75 1,072,320×0.6÷2.35=273,783
76 1,072,320×0.6÷2.40=268,080
77 1,072,320×0.6÷2.45=262,608
78 1,072,320×0.6÷2.50=257,356
合計 31,653,268